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当団は、京浜地区の日立製作所および関連会社の社員、家族、知人を中心にして作られたオーケストラです。
日立フィルで過去に取り上げた作品を演奏会別にご紹介しています。
2008年7月13日(日) 横浜みなとみらいホール 指揮/新田 ユリ
北爪道夫:オーケストラのための「空(そら)」
「空」(そら)は、1983年7月「反核日本の音楽家たち・オーケストラル・メッセージ」と銘打ったコンサートで日本フィルと作曲者の指揮で初演されました。14名の作曲家がそれぞれ5分の新作を持ち寄るという興味深いコンサートでした。作曲打合せの時、「たったの5分で?」という私の質問に「モーツァルトの序曲だって5分で言いたいこと言えてるよ!」と答えて下さったのは石井真木さん。見回せば最年少の私が勇気をもらった瞬間でした。倖せなことに、翌年ニューヨークの「ミュージック・フロム・ジャパン」(岩城宏之指揮アメリカン・シンフォニー)を皮切りに、その後内外で幾度も再演されている思い出深い小品です。
初演時のプログラム・ノートには次のように記されています――近頃私には、「森羅万象」が発想の契機になる或いは理解の土台となる(当たり前だと笑われそうですが)ことが、しばしばあります。「空」は、描写音楽ではないものの、空へのあるイメージにひきずられているかもしれません。共通のスペースとしての空では、しかし個々別々の想いが巡らされ、又、そこは様々な思い出に彩られていることでしょう。でも空はひとつ。この作品は、空への想いのほんの一部分にすぎませんが、平和へのシンボルとしての空の、拡がりを希求し、それへの序奏でもあることから、こうしたタイトルを用いたわけです――。初演から25年を経た今日は、愛知県立芸術大学で作曲とオーケストラの学生を相手に一緒に奮闘してきた仲間でもある指揮者・新田ユリさんと実力派の日立フィルの演奏とあって、たいへん楽しみにしています。
(北爪 道夫)
マーラー:交響曲第6番 イ短調「悲劇的」